お惣菜をドアノブにかけておく
奈良岡さんはあまり料理をなさらないので、「お腹すいた~! 何か食べたいな」と、よく電話をかけてきます。一人分作るのも2人分、3人分作るのも同じだから、お惣菜をちょっと多めに作ってドアノブにかけておく。そして「かけておいたわよ」と電話すると、「ありがとう」。そんなさっぱりしたおつきあいです。
そのかわり、いただきもののお米や食材をお裾分けしてくれます。実はついさっきも、「今、帰ってきたところ。卵持ってきてくれない?」と電話がありました。(笑)
京マチ子さんにもよくおかずを届けましたが、京さんが作ってくださることもありました。往年の大スターは料理なんかしないと思われがちですが、かぼちゃの煮物なんて、本当にお上手でしたよ。
私がお届けするのは、ちゃちゃっと作れる簡単なおかずです。食いしん坊だから、料理はけっこう好きなんです。私の母は芸者から小唄の家元になった人で、お料理にはまったく興味がない。子どもの頃、料理を作ってくれるのはもっぱら祖母でした。ですから私の料理は、祖母ゆずりの庶民の味。しらたきを炒ってほぐしたタラコと混ぜたものや、刻みしょうがの醤油漬けとか、白いご飯にもお酒にも合うものです。
ちなみに、私の握るおにぎりも好評なんですよ。今もたくさん握っては撮影所に届けています。「あれ? 今日はおにぎりないの?」なんて言われると、なんだか嬉しくなってしまうんです。