カータンさんのブログには、子育てや介護のエピソードが満載。幅広い読者の共感を呼んでいる
(出典◎カータン著『健康以下、介護未満 親のトリセツ』KADOKAWA)より

親の変化を受け入れるまで

村井 私の両親はすでに亡くなっていて、現在介護しているのは夫の両親です。88歳の義父は3年前に脳梗塞で倒れ、左半身に少し麻痺が残っており、要介護1。80歳の義母は、それまでジワジワ始まっていた認知症が義父の入院で一気に顕在化し、今は要支援1です。

カータン うちの父は84歳で、2020年末から特別養護老人ホームに入っています。79歳の時に突然視力を失い、介護が必要になりました。母も認知症で要介護1ですし、介護のプロの方たちに助けていただいているものの、自宅での生活に不便を感じ始めたんですね。それでケアマネさんのアドバイスもあり、今後のことも考えて入所を決めました。母は、わが家から徒歩10分の実家でひとり暮らししています。

村井 介護サービスはどのくらい利用されています?

カータン ヘルパーさんが毎朝来て、母に薬を飲ませ、身のまわりのチェックをしてくれます。デイサービスも利用していますね。私は2人姉妹ですが、姉と私は週に1回ずつくらい実家に通っています。あと月に1回、主治医の先生の訪問時も。もちろん、様子が気になる時はそのつど足を運んで。

村井 うちは義父母2人暮らしで、週4日ヘルパーさんが入り、週に1回のデイサービス、週末1日のショートステイです。私も頻繁に顔を出していますね。

カータン 親は歳をとる、いつか死ぬ、それは理解していました。でも認知症になる設定は私の中になかったんですよ。

村井 自分の親が認知症になったことを受け止めるのは、相当にキツかったでしょう。

カータン 突然視力を失った父のストレスや苛立ちが母に向かったため、母は鬱のように情緒不安定になって。怒り狂ったり、泣いたり、そのうち同じことを何度も言うようになりました。私たちは「あれ?」「しっかりしてよ」と母に塗り絵をさせたり、姉と「電流でも流せばもとに戻るんじゃない?」なんて冗談を言い合ったりしながら、親の変化を受け入れるまでにはずいぶん葛藤もあったし、時間もかかりました。でも「病気なんだ」と思い定めてからは、「つきあっていこう」と吹っきれました。