今求められているのは「金八先生」でなく「林先生」

ゴルゴ 教育としての体罰もなくなって久しいですね。僕らが子どもの頃は、悪いことをすると先生に叩かれていたし、部活でも「水を飲むな」とか厳しい指導を受けていた。それが熱中症や怪我につながることもあり、もちろん良いことだとは思いません。一方で、「叱ることの難しさ」という問題が出てきたようにも感じます。結果として、先生が何もできず、親のいいなりになるようなことも起きてしまう。

『「命」の相談室-僕が10年間少年院に通って考えたこと』(著:ゴルゴ松本/中公新書ラクレ)

 

武田 教育が目標を持ちすぎているのではないでしょうか。今の時代、多くの人が求めているのは、「金八先生」ではなくて「林(修)先生」なんです。学校の先生ではなくて、塾や予備校の講師。

どちらが良い、悪いという話ではなく、このふたつはまったくの別物です。学校と塾の一番の違いは、私は「同窓会があるかどうか」だと思っています。林先生が教えている塾・予備校という場所には、同窓会がありません。塾の役割は「技術としての勉強方法を教える場」であるからです。

対して、学校には同窓会があります。それは学校が、勉強を教える場であるだけでなく、「生き方を教える場」でもあるからです。「あのとき先生に教えてもらったことが、大人になって分かりました」と報告するのが、同窓会という場所だと思っています。