今は「叱ることの難しさ」という問題が出てきた、と語るゴルゴ松本さん(写真:本社写真部)
10年にわたり、少年院で「命」にまつわる講演を行ってきたお笑いコンビTIMのゴルゴ松本さんが、俳優でタレントの武田鉄矢さんと対談。言葉にこだわり、人の心に寄り添ってきた二人が、変わってしまった日常を生き抜くヒントについて語り合います。今回は、ドラマ「3年B組金八先生」から見る教育者のあり方について。先生のイメージがすっかり定着した武田さんですが、「今の時代に求められているのは金八先生ではなく林(修)先生」とのこと。その真意とは。

「先生の言うことが絶対だった」時代は過ぎて

ゴルゴ 世間の人々は武田さんに「教育者」としてのイメージを強く持っていると思います。実際に大学の教育学部を出て、教員の資格をお持ちなんですよね。

武田 頭に「名誉」がついているものなので実際の教員免許とはちょっと違うんですけどね。私は大学を4年生のころに中退しています。でも長年「金八先生」を演じたことにより、「教育者のイメージを向上させた」として、60歳を越えたときに、母校から卒業証書が送られてきました。(笑)

ゴルゴ 確かに実際に先生をやるよりも、貢献度は絶対に高かったと思います! 近年は「平等」を理念として掲げたゆとり教育や、その見直しなどを通して、教育の価値観が揺らいできたように思います。武田さんは「金八先生」をやっていた頃と比べて、今の時代の教育は変わったと思いますか?

武田 我々の頃には、先生の言うことが絶対、という時代があったじゃないですか。それは完全になくなりましたね。ラジオ番組で教員の方から悩み相談がありまして、父兄の方々が教養の高い人ばかりなので、例えば「もっとわかりやすい方程式をつかったほうがいいんじゃないか」とか、授業にまでケチをつけられることがあるそうです。先生に注文をつけることが多々ある時代になっています。