お忍びで東京・新宿区の公園を散策され、母子に話しかけられる雅子妃と、当時1歳半の愛子さま(写真提供:読売新聞社)

 

一般の子どもたちと触れさせたい

一方で愛子さまは、生まれながらにして、多くのメディアに好意的だけではない見られ方をされてお育ちになった皇族でもあった。皇太子が、04年にいわゆる「人格否定発言」をなさったことで、宮内庁内外で物議を醸すこととなり、そのハレーションは愛子さまにも及んだ。

「ご挨拶ができないのは、ご教育が悪いのではないか」「お言葉を発したり笑ったりなさらないのは、発達の遅れがあるのではないか」といった臆測が宮内庁幹部らから発信され、メディアやネットによる誹謗中傷が広がった。

雅子妃は、過熱する報道が愛子さまのご成長に悪い影響をもたらしかねないのではないかとご心配なさったと言われ、ご自分が批判されることより、愛子さまが批判されることのほうがつらい、と東宮職に漏らしておられた。

そして、両殿下は愛子さまを守るためにご決断なさった。愛子さまが2歳の時に、皇太子がホームビデオを公開したのだ。絵本を読み上げられた愛子さまに「パパも」とせがまれ、ご一緒に音読なさるという微笑ましいやり取りが映しだされた。天皇ご一家のご様子の映像には、通常は声が入らない。まさに異例のことだった。

両殿下は、幼い愛子さまのプライバシーを守るという姿勢を保ちつつ、一般の子どもたちと触れさせたいと考えられていた。赤坂御所近くの公園や遊戯施設に積極的にお出かけになって、愛子さまを一緒に遊ばせられた。

ミニシャベルやミニバケツの貸し借りや、年上の子が遊び方を教えてくれると、愛子さまもありがとうというお気持ちを持たれる。特別な環境で育つ愛子さまに、遊びを通じて当たり前に思えることをご経験させたかったのだという。