代表の小野寺亨子さん。「職員たちが業務中に思いついたものをまとめて問題にしている」という

入浴の順番を待つ時間も有意義に

デイサービスの1日は、まずスタッフたちが手分けして、車4台でそれぞれの家に利用者を迎えに行くところから始まる。9時20分までに施設に到着。利用者の滞在時間は7時間ほどだ。要介護度によるが、送迎付き、昼食、おやつ代も含めて、介護保険の1割負担分を合わせると1日千数百円程度費用がかかる。

午前中は入浴の時間で、一人ずつ介助していくと、全員が入り終えるまで、ほかの人はかなり待つことになる。「この時間をただぼーっと過ごすのではなく、楽しい時間にしたいと考えたことが、脳トレ問題やゲームを作るきっかけになりました」と、小野寺さんは話す。

短大卒業後、一部上場企業の会社員を経て、小野寺さんは介護の世界に入った。

「事務の仕事がつまらなすぎて、1年で辞めました。その後、10年近く、コンビニでアルバイトを。いわゆるフリーターだったんです。介護の仕事をすると決めたとき、両親からは『一人っ子で育ったあなたに、大変な介護ができるわけがない』と反対されました」

しかし、30歳でデイサービスを展開する事業所に就職すると、介護の面白さにハマった。独立して10年あまり。スタッフと協力して、利用者のために役立つことを、と日々奔走する。

「この施設の理念として、『孤独感ゼロ・足のむくみゼロ・空白の時間ゼロ』を掲げています。脳トレは、空白の時間をゼロにするために活用しているんですよ。みんなでコミュニケーションをとりながらやることで、孤独感ゼロにもつながっています」