●専門書、そんなに読めないよ!

がんになったと知人に打ち明けたら、がん関係の本がドサッと家に送られてきた。知人はしっかり勉強して治療を受け、がんを克服したのだという。

その日から、がんが消えてなくなる食事の本や、体をあたためてがんを治す本、がんと生きる人生論など、真偽のほどが定かでない書籍が一方的に送られてくるようになった。また重粒子線やプレシジョン・メディシンなど最先端医療の難しそうな本や、新聞や週刊誌に掲載されたがんに関する記事の切り抜きまで、毎日のように郵便受けに入っている。

心配してくれているのも、治療法を勉強しなくてはいけないのもわかってはいるけれど、私の頭では消化しきれない。頑張っても半分も読み切れないし、情報をどう生かしていいかもわからない。なにより、周囲にがんの本ばかりがあると、ますます気持ちが暗くなる。そこで思い切って処分してしまったが、スッキリした!  ありがとう!  でもごめんなさい。(会社員・54歳)

 

●夢中になった漢方薬は今どこに

加齢のせいか、たびたび足がつる。こむらがえりを起こして、痛みに七転八倒することも増えた。そんなとき、友人が「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が効くよ」と教えてくれた。

漢方薬はじっくり体調を改善するものと信じていた私は、話半分に聞いていたのだが、あるとき別の友人とテニスをしていたところ、突然足がつりそうに。その友人が「ほら、すぐ飲みなさい」と差し出してくれたのが、あの「芍薬甘草湯」! 信じられないことに、飲んだとたんに足のつりは治った。

以来、漢方薬にハマってしまった。友人にすすめられるままに、便秘には「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」、風邪には「葛根湯」、咳には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」……と買いあさり、買えないものは通販で爆買いする。

しかしいつしかマイブームも去り、今では使用期限切れの漢方薬が押し入れに山となっている。(会社員・52歳)