「札幌市も30年の冬季五輪招致を目指しているようですが、五輪を考え直すきっかけにしたいですね」(酒井さん)

真夏の東京で開催されたのは…

酒井 雑誌のインタビューで、「今回の東京五輪は政治家の顔しか見えなかった」とおっしゃっていましたが、次の北京冬季五輪では、バイデン米大統領が外交的ボイコットを発表していますね。

山口 子どもっぽいことを言う気持ちはないですが、政治が前面に出ることで、「国や政治を超えて、スポーツでは仲良くしていこう」という本来のオリンピックの開催意義から離れていってしまいます。

酒井 純粋なスポーツの祭典ではなくなってきているのですね。

山口 とはいえ、大統領や首相が招致の演説をするのはオリンピックだけ。なぜかと言ったら、ビザなど外交上の問題のある国や地域に対しても国が全面的にバックアップしますという前提のもと、オリンピックの開催地を決めることになっているからです。

酒井 なるほど。

山口 また、オリンピックの商業化も問題視されています。政治とも商業化とも切り離せない、自分の足で立つことができないという現状に、一般の人たちは「オリンピックって必要なの?」と興醒めしてしまいますよね。

酒井 真夏の東京で開催されたのも、経済的背景があったから……。