声優の仕事とナレーションの違いとは

それ以降、ナレーションの仕事をたくさんやらせてもらうようになった。

2021年、75歳で声優・ナレーターを引退したキートン山田さん。伊東の自宅にある家庭菜園にて(写真提供:著者)

『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』〈2007(平成19)年10月~2013(平成25年)8月/テレビ東京〉では、僕もナレーターであることを忘れて、出演者の太川陽介さんや蛭子能収さんと一緒に旅しているような気持ちで、「とにかく馴染んで楽しくやろう」って心がけていたんだけど、実際、突っ込みどころ満載で自由にやらせてもらえて楽しい番組だった。

『ポツンと一軒家』〈2018(平成30)年10月~2021(令和3)年3月/テレビ朝日〉は、人生の先輩がいろんな生きざまを見せてくれるから“すごいなぁ”って、先輩方から学ぶという気持ちでしゃべってたし、僕自身も幼いころ、北海道の片田舎で不便な生活を経験しているから、同感するところもたくさんあった。

アニメなどの声優の仕事とナレーションの違いは、ナレーションはとにかくしゃべる量が圧倒的に多いっていうこと。アニメはだいたい30分番組で正味20数分だから、自分のしゃべる時間はそんなに多くない。

一方で、番組のナレーションは最初から最後まで全部、自分一人でしゃべらなきゃいけない。

バス旅(『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』)は通常は2時間半の番組だけど、年末なんかのスペシャル番組の場合は3時間半にも及ぶから、さすがに「やめてよ〜」っていう感じ。