「いてもいなくてもいい人間」「いないほうがいい人間」じゃダメ

撮影して、編集して、音楽も入って、あとはナレーションだけって状態で、僕の声を最後に入れて完成するんだけど、最後の最後だから、全部受け入れなきゃならない。オンエアが3時間半のものは、台本が50ページくらいあって、それを読みながら仕上げていくことになる。

でも、自分一人だから工夫できる範囲も大きくて、秒数は決まっているけれども、自分らしさを出しやすいっていう楽しみもある。

「別に僕は上手さを求められてないな」と、肩の力を抜いてやってきたことが、いつしか個性になり、”キートン節”って呼ばれるようになった。まぁ、それはまわりが決めることで、僕はありのまま、自分らしくやってきただけなんだけれど……。

やっぱり仕事をするからには、その場その場で必ず必要とされる人間にならなきゃいけない。「いてもいなくてもいい人間」だったり、「いないほうがいい人間」じゃあダメなんだ。

だから、僕も仕事のときには“スタッフや出演者の人たちと一緒にいい番組をつくるんだ”っていう気持ちで臨むし、だれに対しても、相手がどんなに若くても、同じようにいい付き合いを続けられるように接してきた。

こうして築いてきた人脈と友情には何度も助けられてきたし、これからも一生、大切にしていきたいと思っている。

※本稿は、『第三の人生は、後半へ続く!』(潮出版社)の一部を再編集したものです。


第三の人生は、後半へ続く!』(著:キートン山田/潮出版社)

独身時代を「第一の人生」、子育てと仕事をしている時期を「第二の人生」とすれば、まさにいま「第三の人生」を歩み出した声優・ナレーターのキートン山田氏。これまで生きてきた人生の中で一番短くて、だけど人生の総仕上げをすべき一番大事な期間。「いまが最高」と思って人生を終えることこそが、きっと”生涯現役”だ !