さくらももこさんに向かって「まる子のまんまだね」って

僕が原作者のさくらももこさんと初めてお会いしたのは、番組が始まってすぐのころ。居酒屋を貸し切りにしてささやかなお祝いの食事会をしたんだけど、そのときはさくらももこさんも25歳くらいだった。

本名の山田俊司として活動していた34歳の頃。気分はすでに「キートン山田」でした(写真提供:著者)

目立たない、むしろ大人しい感じなんだけど、笑顔とかしゃべり方がまる子そのまんまで、思わず僕は、「まる子のまんまだね」って言ったのよ、あの大先生に向かって……。

でも、ニコニコしておられて、本当に気さくな人だった。

「この人のどこに、あのおもしろさが潜(ひそ)んでるんだろう」って、みんな思ってたんじゃないかな。あまり人前に出ない人だったし、イベントなんかにもなかなか顔を出さなかったけど、心の中にいっぱいおもしろいものが詰まっている天才で、無駄にそれを表に出さない人だったんだね。

その後、さくらももこさんが結婚して男の子が生まれてね。まだ1歳になっていないころ、赤ちゃんを連れてスタジオにやってきたことがあって、その子を僕が抱っこしたんだ。

息子さんは現在、さくらプロダクションを継いで社長さんをしているんだけど、僕のラスト収録〈2021(令和3)年2月26日〉のときにスタジオに来てくれて、四半世紀ぶりに再会したの。

「ああ、赤ちゃんのとき、僕が抱っこしたんだよ」って。それは覚えていなかったようだけど。本当にうれしい再会だった。