保育園に比べて小学校に入ってからのほうが、学童保育の終わりが早い。転居してきた娘夫婦の思惑通り、優子さん夫妻は、平日は毎日、学童保育に孫を迎えに行き、そのまま自宅で夕食を食べさせることになった。優子さんは娘と話し合い、“必要経費”を月3万円にアップすることに。

「孫が喜ぶから、サクランボでもメロンでも、はしりの果物を買っておきます。お小遣いでお買い物をするとき、少し足してあげることもありますし、何やかやで、貰っているお金ではたぶん足りないでしょうね」

娘には「冷蔵庫から好き勝手に自分で取らせないで」と、しょっちゅう苦情を言われる。でも、お菓子やジュースに飛びつく孫の姿を眺めては「あまいばぁばの特権ね」と、目を細める優子さんであった。

 

◆孫の育児に10年を捧げた、雅子さんの場合

孫育てを終えて、今は自分の時間を楽しんでいるのが柳崎雅子さん(68歳)だ。2人の孫は大学生と高校生になった。 20年ほど前に夫が亡くなり、玄関も台所も別々、ベランダで繋がった二世帯住宅に建て替えた。

息子夫婦との同居が始まってほどなく、2人が訪れて「実はお願いが」と頭を下げる。母親の育児休業が明けて共働きに戻ったら、子どもを預かってほしいという。

「保育園に入れるより、私が一日みるほうがお世話が細やかだからって。こだわりのあるお嫁さんなんです」

当時デパートに勤めていた雅子さんは、「週3日だけ。あとは母親がみること」を条件に承諾した。しかし3ヵ月ほどで疲れ切ってしまい、仕事を辞めた。たちまち「週3日が4日になりました」。

大変だったのは、食事に関することだ。二言目には「ヘンなものを食べさせられない」という母親の方針で、飲み物は薄めたお茶だけ、飴類はダメ、おやつは手作り……。孫のお弁当は嫁が必ず用意していたが、2、3歳になれば、祖母のご飯や冷蔵庫にある食材にも興味を示す。

母親の「晩ご飯の2時間前からはおやつを食べさせない」というルールを守るのにも四苦八苦することに。 「家にあるお菓子などをちょっとあげると、すぐにバレてママからお小言です。一瞬ムッとするんだけど、理屈はわかるので一応謝りました」