◆「私の時代はこうしていたのに」は地雷ワード
危機は早々に訪れる。産後の母親はホルモンバランスの影響で、攻撃的になりがち。乳児を外敵から守ろうとするこの時期に、母親は自分を制御することが難しい、と心して接するほうがよい。
前提として、夫の稼ぎで妻子を養い、家の購入からお受験まで賄える時代は終わった。現在の経済情勢では、祖父母世代が子どもに与えてきたのと同じ生活レベルを保つには、共働きが当たり前。祖父母が「母親が働いて、孫を保育園に預けるのはかわいそう」と言うのは禁句、とぼうださん。「むしろ保育園は、少子化の時代に子ども同士が触れ合って育つ貴重な場にもなっています」。
また、推奨される育児のやり方は抱きぐせや離乳食など、基本的な部分もかなり変わってきている。「私の時代はこうしていたのに」は地雷ワード。「子育ての方針や細かい取り決めは、出産前に両世代で話し合ってほしい」とぼうださんは提案する。
ひとたび手を貸すと、親たちは際限なく依存してくるものだが、「頼まれる前に祖父母の側から、『保育園のお迎え、してあげようか』などと切り出すことはやめておくほうがいい」と言う。自分の用事で孫のお迎えに行くのが難しいときにも、言い出しにくくなってしまうからだ。
そして孫育てに奮闘する祖父母に見つけてほしいのが“ババ友・ジジ友”だ。孫を持たない友人には、孫がいるだけで幸せ、と言われて、グチを聞いてもらえない場合もある。同じ境遇の友人を見つけておきたい。
「お金・心・時間」には限りがある。祖父母から孫まで、三世代の誰もが幸せになる道はどこにあるのか。じぃじとばぁばの豊かな経験と知恵の出番である。
最後に、ぼうださんはこう締めくくった。「祖父母にしかできないことは、老いて死に向かいゆく姿をちゃんと孫に見せること。愛情を与えてくれた人が老いる姿を、子どもは受け入れるものです」。