もう一度雑木林をニホンミツバチの天国に
柳生さんは、真吾さんを亡くした哀しみから立ち直ろうと、もう一度雑木林に戻ります。
主を喪ったニホンミツバチは、巣箱からすっかり姿を消していましたが、柳生さんは木の間に一枚の紙切れを発見。そこには「この丸太を切るな。ニホンミツバチの巣箱を作るのに大切なものだから」と真吾さんの字で書かれていました。
「その瞬間、もう一度この雑木林を真吾が望むニホンミツバチの天国にするんだ! と、身体中にエネルギーが溢れてきたのです。すぐさま野良仕事にかかると、木に登って笑う真吾の姿が見えたような気がしました。ケラケラ笑う声も聞こえてきて。だってここは、真吾と一緒に一から作り上げた雑木林です。だから、どの木を見ても一緒にいた風景が浮かぶし、そこにいつも真吾がいる気がするのです。だから悲しみはありません」
真吾さんが亡くなったあとは、真吾さんの弟の宗助さんが引き継ぎ、家族で愛した「八ヶ岳倶楽部」。宗助さんの研究で、二ホンミツバチも再来したとか。
柳生さんは今頃、真吾さんと再会し、真吾さんが大切にしていたミツバチや雑木林について、親子で語り合っているのではないでしょうか。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。