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「終活」の言葉が自分にも身近になり、ノートを作成。香典返しなど具体的に記していくうちに、あることもノートに書き残しておくべきと考えて――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは60代の主婦の方からのお便り。父親の通夜で、スズメが家の中に迷い込んだのを見て、自分の「魂の容れ物」について考えてみると――。
青森の恐山、イタコさんによると……
よく耳にする「終活」の言葉が、自分にも身近になってきました。断捨離や葬儀のハウツー本を手にすることも。
まず終活ノートを作ってみました。「死装束は好きな紅型(びんがた)の着物。タンスの3段目にある」とか、「香典返しはコーヒーが良い」とか、なんでも書いておくと自分の葬式が楽しみになります。
父が亡くなり、自宅で通夜をしたときのこと。玄関脇の座敷に遺体を安置して、献花の受け取りや人の出入りのため、玄関を開けっ放しにしていました。
すると、いつの間に入ったのか、スズメが窓と障子の間でバタバタしていてびっくり。でもすぐに、ははーん、これが話に聞く「あれ」だなと思いました。
〈父の魂が入ったスズメ〉は、白い布をかけられたわが身を見て驚いたのでしょう。外へ逃がしてやりました。
青森は恐山という霊山を擁しています。イタコさんの話によれば、人が死んだとき、魂は鳥や蝶、蛾になり、親しい人にその死を知らせるのだとか。
生前、父は鳥が大好きでした。アヒルから始まり、ヒワやオオルリ、カケスなどさまざまな鳥を飼いました。父が「魂の容れ物」としてスズメを選んだのは、認知症で可愛らしくなってからの趣味なんだろうなと理屈をつけています。