金塊の隠し場所より、「魂の容れ物」を伝えたい

この一件があってから、私は魂があることを信じるようになりました。自分だったら、線香や蠟燭にいぶされてはたまらんと、すぐにあの世へ退散しそうですが、家族を驚かせないように、「魂の容れ物」を考えておかなくては。

40過ぎの息子は蛾が嫌いですから、ぎゃーと言って逃げるでしょう。夫が生きていれば、どんな虫でもスリッパで叩きつぶすから危ない。

「こんなときに殺生はいけない」と周りの親族にたしなめられるのが目に見えるよう。やはり、ノートに書き残しておくべきです。

死ぬ季節は選べませんが、さしあたって7月、目に鮮やかなモンキチョウあたりが愛らしいので候補に挙げて、次のようにしたためておきましょう。「どなたさまの肩にとまりましても、そっと空に戻してくだされば幸いです」と。

金塊の隠し場所を得意げに記すより、和むような気がします。何はともあれ、死んでからのお楽しみですね。


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