天才演出家・小池修一郎先生とは

そんな天才演出家小池先生との出会いは、
花組公演『ベイ・シティ・ブルース』でした。
トップさんは安寿ミラさん、2番手に真矢ミキさん。
組まわりという、組配属の前に1年間いろんな組で勉強してきなさいという訓練期間があり、そこで花組に出たのが小池先生の作品でした。
相変わらず、緊張しすぎて記憶がほとんどありません。
バスケットボールを舞台上で使用していた、そんな記憶があるだけです。

その後、
『LUNA-月の伝言-』
『薔薇の封印-バンパイア・レクイエム-』
『THE SCARLET PIMPERNEL』
『エリザベート』
『グレート・ギャツビー』
『ロミオとジュリエット』
とがっつりお世話になることになるのですが、数々の作品を成功へ導く天才は、他の伝説もなかなか多いお方でした。

小池先生は基本早口です。
ダメ出しは、人のダメ出しを客観的に聞いているととてもおもしろいのですが、
当事者となると、早口のスピードと聞き取れないことが多いので、結構な大変さです。
そして、拘りがありすぎて、時間が足りなくなることも多々。
でもその拘りが、作品をよりおもしろくさせ成功に導くのだろうと、
何度も再演される数々の作品を観ても思います。

そんな先生が、ミスタードーナツの袋を抱えて稽古場に早足で駆け込んでくる姿は、まるで何かのキャラクターのようでした。

と、こんなことを書いていますが、
人生のターニングポイントで大きなヒントとなる言葉をいただきました。
人に対する観察眼がすごく、生徒一人一人のことをよく見ておられるので、さりげない言葉に助けられたりと、尊敬してやまない先生です。

「理想に向かって突っ走り、現実の前に果たし得ない哀しさ」が、作品を作るうえで一貫したテーマだと話されていた記事を読んだことがあります。
ギャツビーもまさにそうです。
ギャツビーに一番思い入れをもっているのは小池先生かもしれません。
宝塚の男役を魅力的に魅せる舞台には、小池先生の男の美学が詰まっています。