〈治療〉薬物療法と心理社会的治療を

ADHDの診断・治療は精神科医と小児科医(神経内科系も専門とする)が行っています。ADHDと診断されても生活面、社会面で問題がなければ治療の必要はありません。ただ、明らかに生活に支障がある場合は治療を。その場合は「薬物療法」と「心理社会的治療」が行われています。

薬物療法は、現時点で保険が適用されているのは2剤。一つは中枢神経刺激薬と呼ばれるメチルフェニデート、商品名「コンサータ」が使われます。もう一つは、一般名アトモキセチン、商品名「ストラテラ」です。コンサータは第一選択薬で、ドーパミンのバランスをとることで注意力や集中力を上げるといわれています。

この薬は1日1回、朝に服用する徐放製剤。徐放製剤は薬の効果が少しずつ表れるため、効果が10時間と長時間にわたって持続します。子どもが学校で服薬しなくても済むようにしたものです。ただし、この薬は処方する医師の使用資格が義務付けられています。

もう一つのストラテラは、脳内の神経伝達物質のノルアドレナリンを増やして症状を改善する薬です。こちらは、夜不眠をきたすことがないのでコンサータと併用することが多くなっています。薬は学校が休みの日には服用しないなど、生活に支障がなければ服用しない日があってもかまいません。

●ADHDの症状チェックリスト(7歳以前)

〈注意欠陥〉

細かいことに注意ができない、または学校での学習やそのほかの活動で不注意なミスをしてしまう

課題や遊びのあいだに集中し続けることが難しい

直接話しかけられていても、聞いていないように見えるといって注意される

課題や活動を順序よく行うことが難しい

テストや宿題のような根気がいる課題を避ける、またはいやいや行う

課題や活動に必要なものをなくしやすい

周りからの刺激で気が散りやすい

ほかの人より忘れっぽい