いつもと違う、どこか調子がよくない…と思っても、かかりつけ医のいない人はなかなか気軽に聞けないもの。小さな不調に大きな病気が隠れていることもあるので、油断は禁物です。また、人になかなか打ち明けられない悩みも、日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第5回は、「ADHD」です。(取材・文/松井宏夫〈医学ジャーナリスト〉 撮影=本社写真部)
目次
症状 頭が悪いのではなく注意散漫

原因 原因不明なのでしっかりとした聴き取りを
治療 薬物療法と心理社会的治療を

予防 自尊心を傷つけない注意を

〈症状〉頭が悪いのではなく注意散漫

「気が散りやすい」「落ち着きがない」「物事に集中できない」「物忘れしやすい」「他人の話にだしぬけに介入する」などが、ADHDの基本的な症状といわれています。試験のときに問題文をきちんと読めないために誤った解答をし、成績が良くないこともあります。これは頭が悪いのではなく、注意散漫なためです。

このADHDには3つのタイプがあります。「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」で、混合型が最も多い。どのタイプかについては、症状のチェックリストで判断ができます。つまり、ADHDは「不注意」「多動」「衝動性」が中心的症状なのです。これらの症状が、小学校の2年生までに揃っているとADHDと診断されます。ADHDの患者数は小児で約5%と推測されているほどで、決してまれな病気ではありません。

 

ADHDは3タイプに分類されます