呼び名で関係性が決まってしまうところも

酒井 これは世代間でうつり続けているのかもしれませんが、私が気になるのは、日本では子どもが生まれるとほとんどの夫婦が「パパ」「ママ」「お父さん」「お母さん」と呼び合うようになることです。子どもが大人になっても、死ぬ間際まで「お父さーん!」って。

金田一 面白いですよね。家庭内の役割から離れられないのかな。

酒井 とはいえ、「パパ」や「お父さん」でなければ、伴侶のことを何と呼べばいいのか。特に、他人に自分の伴侶の話をするときの呼称、他人の伴侶を呼ぶときの呼称は、いまだにしっくりくる言葉を見つけられていません。

金田一 なるほど。それこそ呼称は時代によって大きく変化していくものですが……旦那? 主人? 夫? 連れ合い?

酒井 「主人」は『婦人公論』的にNGです(笑)。「夫」はいいと思うのですが、他人の伴侶を呼ぶときは難しい。たとえば、田中さんに向かって「田中さんの夫は」と言うのは失礼な感じがぬぐえないですし、「田中さんの夫さんは」と言うのもなんだか落ち着きません。若い人の中には、「夫さん」と言う人も増えていますが。

金田一 最近の学生たちは「彼氏さん」「彼女さん」などとも言いますね。「さん」をつけると相手に対して距離感を作れるから、「夫」「彼氏」と呼び捨てにするよりも丁寧な表現だと思っているのでしょう。呼び名で関係性が決まってしまうところはありますからね。