和食で食物繊維を摂り 善玉菌を育てよう

また、腸で消化吸収を終えた食べ物のカスを善玉菌が分解し、生み出す物質の効用も見逃せません。なかでも「短鎖脂肪酸」は近年注目の物質。

「免疫細胞が、病原体ではなく本来無害な花粉やホコリにまで過剰反応すると、花粉症などのアレルギー疾患を引き起こすことも。免疫細胞の中には、このような暴走を防ぐ細胞(通称Tレグ)が存在し、アレルギー抑制に働きますが、短鎖脂肪酸はこのTレグを増やすとされます。加えて、腸粘膜の新陳代謝を助ける、余分な体脂肪の蓄積を防ぐ、高血糖を改善するなどの働きもわかってきました」

善玉菌はほかにも、病原体の繁殖を抑える乳酸、酢酸などの有機酸や、女性ホルモンに似た働きで更年期障害緩和や骨粗しょう症予防が期待できるエクオールなど、さまざまな物質を作り出しています。

「多様な善玉菌を育てるのに和食は最適です。野菜やきのこ、海藻、豆類、穀類が豊富で、善玉菌のエサとなる食物繊維がたっぷり。納豆や漬物、またヨーグルトなどの発酵食品も善玉菌を元気にします。一方、肉類や動物性脂肪(飽和脂肪酸)は悪玉菌のエサになるので、摂りすぎに注意しましょう」

気をつけたいのは、便秘です。腸内に滞留した大便は悪玉菌の温床に。自律神経が乱れると、腸の蠕動運動が滞って便秘が起こることもあります。規則正しい生活を心がけて、自律神経を整えることが大切です。

「腸内細菌の働きで腸の免疫力が活性化するとはいえ、腸粘膜に対する病原体や大便、老廃物などの影響をゼロにすることはできません。特に大腸はがんリスクが高い臓器。40歳になったら、大腸がん検診・便潜血検査は必須。便通異常など自覚症状のある人は、専門の医療機関で大腸内視鏡検査を受けましょう」

次回は、善玉菌を育てる腸内環境改善法を紹介します。

〈実践編につづく〉
食事、運動、そして笑い⁉ 腸内の善玉菌を育て、免疫力を高める生活術