〈治療〉治療困難なケースにも生物学的製剤で効果が

乾癬の基本治療は「外用薬」「内服薬」「光線療法」。これで多くの患者さんは治療効果を得られます。一部の「治療効果が得られない」「副作用で内服薬が使えない」患者さんや重症患者さんには、2010年から認可された生物学的製剤によって大きな効果が出ています。

外用薬:炎症を抑える「ステロイド外用薬」と、皮膚の細胞の異常な増殖を抑える「ビタミンD3外用薬」の2種類があり、最近はこの2つを合わせた塗り薬も出ています。

内服薬:塗り薬だけで治療がうまくいかない場合、飲み薬が追加されます。皮膚の新陳代謝を抑えるビタミンA誘導体の「エトレチナート」と、高まっている免疫反応を抑える「シクロスポリン」や「メトトレキセート」(海外では昔から使われていましたが
日本では最近承認されました)などがあります。また、PDE-4阻害薬のアプレミラストやJAK阻害薬のウパシチニブ(乾癬性関節炎にのみ)などの新しい内服薬が治療メニューに加わりました。それぞれ副作用に注意が必要です。

光線療法:紫外線には炎症や皮膚の新陳代謝を抑える働きがあります。その紫外線効果を照射装置で行うのが「ナローバンドUVB療法」と「PUVA(プーバ)療法」。「紫外線療法+エトレチナート」のコンビネーションなどがありましたが、最近は、ナローバンドUVB療法が簡便な治療として主流になり、小型の照射装置による難治部位だけに限局的に照射するターゲット型照射装置が普及しています。

生物学的製剤:バイオテクノロジー技術で生み出されたのが生物学的製剤。炎症に関わる物質などを抑制する「TNF-α阻害薬」(3品目)、「IL12/23p40阻害薬」(1品目)、「IL23p19阻害薬」(3品目)、「IL17関連阻害薬」(4品目)11製剤が現在つかわれており、その後発品も登場し、選択肢が増えてきています。使い方はそれぞれことなり専門医に詳しく説明を受ける必要がありますが、もう一生治らないとあきらめていた患者さんや関節症状で悩む患者さんには、人生を変えてくれる(life changing) 治療が増えてきています。

その他:乾癬の悪化を促す白血球だけを取り除く治療も登場しています。血液をろ過して
悪い白血球だけをろ過する装置が「アダカラム」です。乾癬の重症型の「膿疱性乾癬」に
使われます。
 

症状別にみた治療方針