不調の原因がわからない、人になかなか打ち明けられないなどの体の悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第7回は、「乾癬」です。(取材・文/松井宏夫〈医学ジャーナリスト〉 撮影=本社写真部)
目次
症状 頭のフケから始まり皮膚が赤く盛り上がる

原因 自分の免疫機能が皮膚再生サイクルを狂わせる
治療 治療困難なケースにも生物学的製剤で効果が

予防 身体を清潔にし皮膚への刺激を避ける

〈症状〉頭のフケから始まり皮膚が赤く盛り上がる

「乾癬(かんせん)」は慢性的な皮膚疾患。皮膚に赤く盛り上がった発疹ができ、その上に銀白色のフケのような垢(鱗屑〈りんせつ〉)ができては剥がれていく病気です。皮膚症状は頭のフケから始まることが多く、肘、膝、腰回りなどこすれやすい部分に出てきます。《こすれる》という物理的な刺激が影響すると考えられています。

乾癬は1つの種類ではなく、以下の5つに分けられます。「尋常性乾癬」は最も多く90%を占め、前述した代表的症状が出るのが特徴。「滴状乾癬」は風邪や扁桃腺炎の後、体中に水滴程度の小さな乾癬が多発します。「関節症性乾癬」(正式には「乾癬性関節炎」)は皮膚症状に関節の腫れや痛みが伴います。「乾癬性紅皮症」は尋常性乾癬が全身に広がった重症タイプ。そして、「膿疱性乾癬」は体中に膿を持つ赤い発疹ができ、高熱を伴う重症タイプで、難病指定疾患です。

 

頭部から最初にできる(左)背中(右)(写真提供◎江藤先生)