左:てぃ先生 右:高濱正伸さん 高濱さんが着ている素敵なシャツは、息子のJo Takahamaさんがデザイナーとして活躍するNOT EQUALのもの(撮影◎本社・中島正晶)
大人気学習塾「花まる学習会」の代表である高濱正伸さんと、カリスマ現役保育士として、子育て世代に絶大な人気を誇るてぃ先生。今、教育の最前線を走る二人が、幼少期の子育てについて、深く語り合いました(構成=高松夕佳 撮影◎本社・中島正晶)

消しゴムのカス集めでも、熱中していることを大事に

てぃ先生 保育士として日々幼児とかかわっていると、子どもたちの自己肯定感を育てるのは、本人が好きなもの、自信を持っているものをできる限り伸ばしてやることだなと感じます。

どんな小さなことでもいいんです。友達より着替えるのが速いとか、指パッチンが誰よりもうまくできるとか。子どもの心の中で「自分はこれが得意」という自信が十分に膨らんでいくと、新しいことにチャレンジする意欲も生まれやすい。僕たち保育士のやるべき仕事は、そうした小さな自信を育ててあげることなのかな、と。

高濱 外からの評価基準でばかり褒める癖をつけてしまうと、本質を見失いますね。

これまでの教育はすべてがテスト優先、合格優先で語られてきたし、そういう塾や学校が重宝されてきた。でも、一億人の子どもがいたら、一億人全員を幸せにするべきなんですよ。そのためには、それぞれの子どもが本当に「これが楽しい!」と思うものを優先させてあげることが必要です。

最近出会ったアソビュー株式会社の山野智久代表取締役は、その典型だと思いました。彼は千葉の田舎でずっと一番だった。サッカーもうまいし、勉強もできる。中学校までは下駄箱の蓋を開けるとバサバサっとラブレターやチョコレートが落ちてくるほどのモテ男だったらしいんですね。その後進んだ進学校では一転、下の方になるのですが、彼はそこでまったくめげなかった。「そんなはずはない、俺はすごいんだから。まあ高校にはサッカーをしにきたんだから勉強は別にいいんだ」と。

つまり、15歳くらいまでの間に自己肯定感を培っていれば、どんな逆境に陥ってもめげずに復活できるし、ガンガン突き進めるのです。

そうした土台としての自己肯定感、「僕は僕のままで大丈夫なんだ」という心を保育園・幼稚園時代から小学校時代までにしっかりと作っておくことが非常に大切です。逆にその時期に親子で成績重視の枠組みに収まることに熱中し、なまじっか成果が出たりすると、世界の捉え方がねじ曲がってしまい、後で痛い目に遭うことになります。

幼児期には、消しゴムのカスを集めるのがすごく楽しかったとか、そういう些細なおもしろいことがたくさんあったはずなのに、「消しゴムのカスがなんなんだ。そんなことで試験に合格できるか」と親にガーっと言われると、忘れちゃうんですよね。この国はそれでものすごい損害を被っていると思うよ。

子ども時代にはその子が熱中していることを大事にしてやってほしい。その意味で、てぃ先生が保育園でやっていらっしゃることは、めちゃくちゃ大事だな、と。