本来の政治の姿とは

三浦 もうひとつ、投票率が高くなると一般的に野党に有利になりますが、低い場合は組織票を持つ政党が強くなる。現政権でいうと、自民・公明両党が有利ということになります。

解散総選挙がない限り、25年まで国政選挙が行われないので、今回の参院選に勝てば、与党は「黄金の3年間」に。だから現政権にとっては、参院選に国民の注目が集まらないほうがいいことも……。

酒井 あえて静かにしている、という(笑)。私の周りも含め、「選択的夫婦別姓」や「同性婚」制度の賛成派は多い。それなのに実現しないのも不思議です。

三浦 自民党の保守勢力がそれを認めないからですね。事実上の拒否権を持っていて、その枠内でしか政策決定ができません。ほかにも、原発問題など現政権の政策に疑問を持つ人は多いですが、投票率が低ければ変化が起きないのは当然です。

酒井 私たち一人ひとりが政治を「自分ごと」として考えて行動することが、政治のダイナミックな動きを呼ぶということですね。

三浦 そもそも政治とは、コミュニティから自分の代表を出し、社会の課題を解決していくということ。みなさんが悩みを一人で抱えず、仲間を集め、意見の衝突もありつつ最善の方向を探っていく。それが本来の政治の姿です。

酒井 そうですね。『婦人公論』世代にとって切実なのは、たとえば高齢者の貧困問題でしょうか。

三浦 生涯シングルや非正規雇用など、年金が足りない人はさらに増えていきます。それらの問題を解決していくためにも、選挙で意思表示をすることは大切です。

女性は若い時には男性より投票率が高いのですが、80歳を過ぎるとガクンと下がってしまう。健康上の問題があったり、投票所に連れて行ってくれる家族がいなかったりする人などが《投票弱者》になっています。そうした人のサポートも、大切な政治課題だと思います。