左から、政治学者の三浦まりさんとエッセイストの酒井順子さん(撮影:洞澤佐智子)
〈6月15日発売の『婦人公論』7月号から記事を先出し!〉
日本の国会議員の女性比率は衆議院で9.9%と、世界190ヵ国中166位という現状(※衆議院ホームページより。2022年5月30日時点)。7月に行われる参議院議員選挙を前に、なぜ世の中が盛り上がっていないのか、そして女性たちの思いを国政に届けるにはどうしたらいいか、酒井順子さんが政治学者の三浦まりさんと語りました(構成=山田真理 撮影=洞澤佐智子)

不安に思うくらい、世の中が盛り上がっていない

酒井 参議院議員選挙の投開票が、7月に予定されています。現時点(4月末)で、「選挙前だよね?」と不安に思うくらい、世の中が盛り上がっていない気がしますが。

三浦 そうですね。2021年の衆議院議員選挙は、「桜を見る会」問題で失速した安倍晋三前総理と後を継いだ菅義偉総理がいわばヒール役で、与野党の対立構造がはっきりしていた。それと、立憲民主党を中心とした野党共闘。そうした際立ったトピックが、今回の参院選には少ないですね。衆院選の野党共闘は「うまくいかなかった」と総括されましたが、詳細に選挙結果を見れば、そこそこ善戦したし話題にもなりました。

酒井 今回、投票率はどうなるでしょう。

三浦 前回の参院選の投票率は、48.8%と史上2番目の低さでした。今回もあまり期待できない可能性があります。最大の理由は、メディアの選挙報道が減っていることです。投開票速報は熱心に報道するけれど、肝心の選挙期間中の報道量が減っている。その結果、有権者は選挙があることさえ忘れかねないし、盛り上がっていないと、党や候補者の情報を自ら集める必要がでてきて、投票へのハードルが高くなってしまいます。

酒井 スポーツ選手やタレント候補は派手に取り上げる。バランスも気になるところです。