「私自身、政治的なリテラシーが低いと感じています。思えば、政治と自分を結びつけるような教育は受けていませんでした。」(酒井さん)

クオータ制は効果あり!

三浦 大きな成果を上げているのが、候補者数や議員数の女性の割合が一定になるようにする「クオータ制(性別割当制)」の導入です。クオータは「割り当て」という意味。クオータ制は《手段》ですが、人口は男女半々なのだから政治も平等に担おうとする「パリテ」という《理念》もあります。

酒井 なるほど。

三浦 フランスでは、候補者の男女同数を義務づける「パリテ法」が00年に成立し、12%台だった女性議員の割合が20年には約40%に増えました。韓国でも00年にクオータ制が導入され、20年後に約3倍になっています。

酒井 制度として導入する効果はどのようなものなのでしょう。

三浦 数値目標がないと、「候補者を探したけれど、選挙に出たいという女性がいなかった」と言い逃れができてしまう。数値目標を定めることで、初めて従来の男性中心のネットワーク以外のところから候補者を探し始める。

女性も、政党の支援があると手を挙げやすくなります。そうやって候補者の探し方を変えていくと、男性の中の多様性も生まれてくるのです。

酒井 子育てや介護をしながら議員になるのは大変ですね。

三浦 そのとおりです。ですから、クオータ制度とともに議員の働く環境整備も進めなければなりません。そうしないと、家のことや地元の付き合いは妻が担ってくれる男性か、独身の男女しか議員に向かないということになってしまいます。まずは、制度を使って一気に女性を増やす。そうなったら、議会も政治も変わらざるをえなくなりますから。