残された日は家の中の遺品整理に集中した。
「我が家にそれほど高価なものがあるわけもなく、私が必要と思うもの以外はすべて廃棄処分することにしました」
最終日にダンボール6箱を東京に送り、残されていた新品の石鹸やタオルなどは、ご挨拶を兼ねてご近所に配り、それ以外はすべて家の解体と同時に処分してもらう契約をして帰京。怒濤の1週間が終わった。
「4月に家を解体して土地を売りに出したら、1週間で買い手がついたんです。5月の連休を利用して札幌へ行き、売却手続きを完了しました」
期間が区切られていたからこそ、即断即決ができたと振り返るメグミさん。今はベストな選択だったと後悔はない。
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人口減社会に入った日本の空き家数は約820万戸(2013年・総務省調査)。全住戸の13・5%、7戸に1戸が住む人のいない「家余り時代」に突入しているのだ。しかも、60代以上の持ち家率は8割。誰でも相続によって空き家を抱える可能性があると言っても過言ではない。
そのときが来て焦らないように、親が元気なころから、きょうだい間で実家の今後を相談したり、地域の不動産情報を集めたり、と事前の準備が必要になってくるだろう。