人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第10回は、「子宮内膜症」です。
(取材・文/渡辺勝敏〈読売新聞〉 撮影=本社写真部)
この記事の目次
〈原因〉子宮内膜という組織が、子宮の外で増えてしまう病気。月経で悪化する
〈症状〉初期は月経痛、進行すると排便痛や性交痛、不妊症、卵巣がんに 〈予防〉子宮内膜症予防にはピルの有効活用を 〈治療〉薬物療法と手術療法をうまく組み合わせて

〈原因〉
子宮内膜という組織が、子宮の外で
増えてしまう病気。月経で悪化する

子宮内膜症は、子宮の内側を覆う子宮内膜が子宮以外の場所でエストロゲンという卵巣ホルモンの作用により増殖し、月経のたびに炎症や出血を繰り返す病気です。ですから閉経とともに症状は鎮まりますが、進行すると子宮、卵巣、直腸の間に強い癒着を作り、痛みや不妊の原因となります。

子宮にある子宮内膜は妊娠準備のために厚くなり、妊娠しなければ月経時に排出されますが、その際に内膜組織の一部が卵管を逆流してお腹の中に運ばれることが原因のひとつと言われています。

主な病巣は子宮と直腸の間にあるダグラス窩という腹膜の凹み、卵巣など骨盤内にありますが、まれに、血管やリンパ管を通って、肺やへそ、大腸や膀胱にできることもあります。逆流はだれにでも起こり、月経のある女性の10人に1人が子宮内膜症になると言われています。

子宮内膜症の図