ワークライフバランスを取りに行くのは意識高い系

第1の誤解は、若者のプライベートな時間の重要度が上がったがゆえに、仕事に対する意識が低下した、と考えることだ。

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―― いい子症候群の若者たち』(著:金間 大介/東洋経済新報社)

これの何が誤解かというと、「今の若者は積極的にワークライフバランスを取りにいっている」と考える点にある。人並み以上に努力する=意識高い系の人たち、ワークライフバランスを重視する=そのほかの人たち、というイメージだろうか。

しかしよく考えてほしい。いい子症候群の視座からは、積極的にワークライフバランスを取る時点で意識高い系なのだ。プライベートの時間を重視したい、私生活を豊かにしたい、といった「**したい」という表現自体、意識が高い証拠であり、全然、いい子症候群らしくない。

「積極的ワークライフバランス派」は大人が作った虚像にすぎない。「自分の時間を大切にしたい」なんて私から言わせればとても前向きだ。

いい子症候群の若者は、むしろ「**したくない」という思考が中心となる。リスク回避志向とはそういうことだ。