襲来した蒙古はそこまで圧倒的に強大な敵ではなかった

日本馬の問題は、前述のように去勢していない雄馬だったため、馴らすのが大変で、なかなかいうことを聞かなかったことです。発情した雌馬が近くにいようものなら大騒ぎだったようです。

しかし、現在の競走馬にも去勢しない雄馬が多く、制御できなかったらレースになりませんが、そういう事態になることはありません。

たしかに西欧のような整然とした騎馬隊の隊列は組めなかったとしても、日本の武士は日常的に訓練して、雄馬を馴らしていました。

戦場での突撃はせいぜい200メートル程度の走行であり、集団的な突撃は十分に可能だったと考えられます。

こうして見ると、通説と比べて、蒙古軍の実際の兵力が4万ではなく2万6000ほどと考えられるうえ、その実体は蒙古自慢の騎馬軍団ではなく寄せ集めの歩兵集団だった一方で、日本側は騎馬武者を5000以上も揃えていたと考えられ、ここでも両者の差は縮まります。襲来してきた蒙古は日本にとって、決して圧倒的に強大な敵ではなかったのです。