吉川さんは、ゴルバチョフ氏との再会を振り返り、哀悼の意を表した。

「2年前、ロシアで再会した時のお姿が思い出されます。
奥様を先に亡くされていたので、〈寂しいよ。学生時代からの友人というか、恋人同士だったから〉とおっしゃっていました。別荘の軟禁事件の際は、奥様も大変な心労がおありだったことと思います。
平和を願い続けていらしたゴルバチョフ元大統領が、今の世界の状況の中でご逝去されたこと、お気持ちを察しても余りあります。心残りが多かったのではないでしょうか?〈核をなくし、平和を!〉と訴え続けていらっしゃいましたので…。
心よりご冥福をお祈りいたします」

ゴルバチョフ氏は最後の自著で、自身の生涯をについて「当時の私に想像することができただろうか。自分が20世紀のほとんどを、そして21世紀にもわたって生きるだろうということを。そしてその間に、わが国と世界を大きく変化させる出来事が起き、そこで我々世代、私自身が重要な役割を果たすことになるだろうということを」と述べている。

晩年のゴルバチョフ氏



そしていつも、ペレストロイカの時代を思い出すと記している。「当時、何が重要だったか、疑問の余地はない。グラスノスチ、自由、冷戦の終結だった」と。

「達成できたのは、多くの人々による尽力のおかげだった。私はこの本で、彼らのことを語りたい。そして、あの時代の歴史的な出来事を背景に、彼らの人物像を描きたい」とも。

世界では冷戦を終結に導いた指導者として高く評価されたゴルバチョフ氏。一方自国では、超大国ソビエトを崩壊させたとして、厳しい批判にもさらされた。
最愛のライサ夫人との再会を果たしているだろうか。ご冥福をお祈りします。