不安だから、周囲の人に確認したくなる

認知症で最も多いのが、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、まず、脳の海馬という領域の萎縮から始まります。

『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』(著:川畑智、監修:遠藤英俊、マンガ:浅田アーサー/文響社)

 

海馬とは、脳に入ってきた情報を一時的に保持して、必要な情報を取捨選択する部位です。海馬が萎縮すると短期記憶が苦手になって、もの忘れが増えたりもの覚えが悪くなったりします。

短期記憶に障害が起こると、同じことをくり返しいったり聞いたりすることが多くなります。本人は、なかなか覚えられなかったり、すぐに忘れたりしてしまうので、「あのことを聞かなければ」「あの話はしただろうか」と常に不安な気持ちでいます。

そのため、家族や周囲の人に確認せずにはいられないのです。中には、予定や検査結果など覚えておくべき情報をまとめたメモが、まるで辞書のように分厚くなっている方もいます。

つまり、何度もいったり聞いたりするのは短期記憶の障害が本当の原因ではありません。「ちゃんと覚えていたい」「周囲に迷惑をかけたくない」という、人として当然の気持ちの表れです。