本人を安心させてあげて
認知症の人は、私たち以上に記憶することを努力しています。忘れることが不安で、常に「記憶しなければ」と意識しています。
不要な情報まで覚えようとして、頭がいっぱいになることも少なくないのです。
認知症でない人は、心に余裕がないと、このケースのように「何度いったらわかるの?」「この前、いったでしょ?」という対応をしてしまいがちです。認知症でない人は、さほど意識せずとも必要な情報は覚えられるし、指摘されれば思い出せるので、記憶することにさほど不便も苦手もないためです。
認知症の世界では、短期記憶の障害で本人が常に不安を抱えています。その不安に寄り添うことを忘れないでください。
同じ話をされた場合も、ていねいにもう一度同じ話を聞けば本人は安心するかもしれません。同じことを聞かれても、「私が覚えておくから大丈夫よ」といえば、本人の安心につながることも考えられます。
※本稿は、「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」(著:川畑智、監修:遠藤英俊、マンガ:浅田アーサー/文響社)の一部を再編集したものです。
「マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界 」(著:川畑智 監修:遠藤英俊、マンガ:浅田アーサー/文響社)
日本の認知症の患者数は増加の一途を辿っており、数年後には「誰しも認知症の人と接する社会」が訪れます。認知症の人とのコミュニケーション法は、今や誰にも必要な知識です。しかし、「何度も同じことをいう」「家族の顔がわからなくなる」「財布を盗んだといわれる」「理由もなく歩きまわる」など、家庭介護の場面では、認知症の人の不可解な言動にイライラしたり、疲弊したりすることが少なくありません。本書は、認知症ケアの現場で数多くの認知症の人と接してきた著者の豊富な知見をもとに、不可解な行動の裏にある心理をマンガ形式で紹介。その言動の理由がわかれば、認知症の人が愛おしくなり、介護がらくになるのです。
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