「数年前にテレビ番組の企画で、希望通りの葬儀をしたんですけど、なかなかおもしろい体験でした。こんなに準備しているのに、本番を見られないのが残念ね」(撮影=宮崎貢司)
パワフルに世界を飛び回るデヴィ夫人が82歳の今、気がかりなのは、集めた膨大な数の芸術品のゆくえ。自分の亡き後、娘や孫に迷惑をかけないために準備を始めていると言います(構成:平林理恵 撮影:宮崎貢司)

棺を担ぐのは、燕尾服の美男子たち

私は、人生は自分で切り拓くものと考え、努力を重ねてまいりました。その結果、完全な独立と自由を得て、生きたいように生きることができましたけれど、残念ながら「死」だけはコントロールできないのよね。

人は思ったようには死ねない。そこに人生の悲哀を感じますが、だからこそ終活すること、備えておくことが大切です。あとに残された人が困ったり迷ったりしないようにしておくことは礼儀でもあるし、生きてきたことへの責任でもありますから。ですので、お墓もお葬式もここ数年、着々と準備を進めています。

永遠の眠りにつく場所や人生最後のセレモニーは、やっぱり自分でデザインしたいじゃない? 私のお葬式は、葬儀場ではなく教会で行い、会場には大好きなラヴェルの「ボレロ」を流します。

白いドレスを身にまとった私が眠る棺を担ぐのは、燕尾服の美男子6名! 祭壇のお花は白と緑を中心にピンクや紫を少しだけ加えたイングリッシュガーデン風に。日本式にピシッとまとめるのではなく、自然に咲いているようなアレンジにできたらいい。

数年前にテレビ番組の企画で、希望通りの葬儀をしたんですけど、なかなかおもしろい体験でした。生前にリハーサルをすれば、本人確認のうえで、より理想に近づけられます。こんなに準備しているのに、本番を見られないのが残念ね。