夫人が自らデザインしたお墓のイメージ図

好きなものを集めてそばに置くのが幸せ

このように、お墓やお葬式の準備が順調なのに比べて、思うように進まないのがモノの始末、財産の管理です。

とにかくモノがありすぎて、私が死んだらみんなが困ることになるのは確実よ(笑)。ニューヨークと東京を合わせてお家が3つ。買い集めた絵画や古美術品、ジュエリーなどがお家にも入りきらないため、ほかにも倉庫をいくつか借りています。

モノが多い大きな理由のひとつは、私が小学生の頃からの思い出の品々を捨てずに取ってあるからなの。幼い頃からおぼろげながら、私はいつか有名人になると思っていました。世界に羽ばたいて、歴史上かつてない存在として名を残す。そんな願望とも確信ともつかない気持ちを抱え続けていたのです。

きっと将来必要になるから、私の人となりや幼い頃の姿を示すものは保存しておくべきだと、小学校時代の成績表から描いた絵、65年前の草月流のお免状、手紙、お洋服まで……残せるものはすべて取ってあります。

2020年に80歳を記念して開催した「傘寿記念 デヴィ・スカルノ展 わたくしが歩んだ80年」で、一部を皆さんに見ていただくことができましたが、さてこれから先も持ち続けるべきなのか。手放すことに迷いもあり、時間がないしで、片づけに手をつけられずにいます。

もうひとつ、モノが増えてしまうさらに大きな理由は、私は好きなものを集めてそばに置き、眺めて暮らすことに何よりも幸せを感じてしまう人間であるということ。一点一点、出合った時の思い出もあれば、ともに過ごした愛着もある。

ずいぶん前に、高峰秀子さんが雑誌のインタビューで、フランスで買い集められた絵をバーッと並べた写真の前で「全部売ります」とおっしゃっていたんです。ご自分が心奪われてともに暮らしてきたモノたちを手放すってどんな気持ちなのかしら、と想像して胸が痛みました。

ああ、でも、そんなことも言っていられない。私も整理を始めなくてはいけない時期がもうとっくに来ているのですね。