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〈治療〉副作用の少ない治療薬も登場
統合失調症と診断すれば、病気の説明をし、薬を処方します。症状を抑える抗精神病薬には、第1世代の薬と、1990年代から使われ始めた第2世代の非定型抗精神病薬があります。
第1世代はハロペリドールという成分の薬が代表的なもので、ドーパミンを抑える作用があり、妄想や幻覚は治まるのですが、だるくて意欲がわかない、唇や舌が勝手に動いてよだれが出るといった副作用を起こすことがありました。
第2世代の薬は、より副作用が抑えられ、無気力感が出ることは少なく、回復像がよくなりました。抗精神病薬は、第2世代の薬を1種類だけ処方するのが基本です。しかし、幻聴が消えなくてつらい場合などは、もう1種類を追加することもあります。
近年は、月に1回の注射で効果がある持続性注射剤のパリベリドンやアリピプラゾールが使われることが多くなりました。注射によって病状も安定し、副作用も少なくなり、再発予防に役立っています。また、ブロナンセリンテープという1日1枚の貼付薬による治療も可能になりました。
「薬はずっと飲まなければいけないのですか」と聞かれれば「やめると再発の可能性が高くなるので、10年は飲むつもりで」と答えています。しかし、将来医療が進歩して薬を長く飲まなくてもよい日がくると確信しています。