イメージ(写真提供:photo AC)
もし生活費が尽きたらどうするのか。親の死後は誰が世話をするのか――。50代、60代のきょうだいが悩みのタネという家族に、いま抱えている不安について聞いた

引きこもりの義弟に、生活費を渡す夫

夫の実家で引きこもり続ける義弟の存在に頭を悩ませているのは、栃木県在住の飯島祐子さん(59歳・仮名=以下同)だ。

「義弟は私より1つ年上で、今年還暦を迎えました。親と住んでいた一軒家で一人暮らしをしています。30年以上働かず、家に閉じこもりきり。義父母が亡くなって以降、日中は雨戸を閉め切ったまま過ごし、夜は深夜営業のスーパーまで歩いて食料品を買いに行く、という生活を続けています。近所では空き家だと思われているみたい」

義弟の引きこもりは、飯島さんが結婚する前から始まっていた。高校卒業後に地元で就職したが、職場の人間関係でトラブルになり退職。以来、働いていないということだが、詳しい事情は知らされていない。

「結婚するときに夫から、『弟のことでは一切迷惑をかけない』と言われたんです。義弟に会ったのは、結婚直後に一度だけ。会話したときの印象は真面目そうな人だな、と」

夫とともに新居で暮らし始めた飯島さんは、義父母が元気なうちは義弟のことも深刻に考えていなかった。いずれ立ち直って再び働けるのではないか、くらいに思っていた。