「スタグフレーション」の恐ろしさ

もっとも米国など諸外国では、景気は過熱気味に推移しており、その結果として物価上昇が激しくなっていました。このため、金利を引き上げて景気を冷やし、これによって物価を抑制するという手段を選択できます。

実際、米国は金利引き上げペースを加速しており、景気を犠牲にしてでも物価を抑制する方針です。

ところが日本の場合、そうはいきません。

日本では長く不景気が続いており、国内経済は低金利が大前提となっています。このため、急に金利を引き上げると、景気が一気に腰折れしてしまう可能性があり、諸外国のような高金利政策を採用できないのです。

【図表】消費者物価指数の推移

インフレ自体やっかいな現象ですが、さらに恐ろしいのは不景気下でのインフレ、つまり「スタグフレーション」です。

スタグフレーションとは、「スタグネーション(景気低迷)」と「インフレーション(物価上昇)」の合成語であり、景気が後退するなかでインフレが同時進行する経済現象を指します。

スタグフレーションに陥った場合、ほとんどの経済政策が効果を発揮しなくなり、そこからの回復はきわめて困難です。スタグフレーションは、各国経済にとって、もっとも回避しなければならない事態の1つと言ってよいでしょう。