多くの専門家がインフレの長期化を予想
もし単純な要因で価格が上がっているのなら、これらの問題が一段落すれば物価上昇は収まるとの予想が成り立ちます。ところが、多くの専門家が今回の物価上昇は一時的なものではないと考えています。
その理由は、数年前から全世界的な需要の拡大にともない、物価が上がりやすい状況が続いており、事態が改善する見込みが薄いからです。
近年、中国や東南アジアなど、新興国の経済成長によって生活が豊かになっており、エネルギーや食糧の消費が急拡大していました。いっぽう、天然資源の多くは急に生産量を増やすことができませんから、需要過多と供給不足によって、価格には上昇圧力が加わります。
こうしたところにコロナ危機やウクライナ侵攻などが重なり、価格上昇が一気に本格化したというのが一連の流れです。
さらに言えば世界各国は、リーマン・ショックから経済を立ち直らせるため、大量のマネーを市場に供給する量的緩和策を実施してきました。
歴史が示している通り、マネーが市場に大量供給されればインフレが進みやすくなります。根本的な需要過多の状況に大量のマネー供給が加わり、さらに感染症や戦争という非常事態が重なったことで、インフレが加速しているわけです。
これらの要因がすぐに解消する可能性は低く、結果として多くの専門家がインフレの長期化を予想しています。