脱炭素社会の実現で効果が表れるのはいつ

酒井 昨年、真鍋淑郎先生がノーベル物理学賞を受賞されました。気候分野での受賞は、過去に例がないということでしたね。

渡部 真鍋先生はこの分野のパイオニア。その業績は世界的に高い評価を得ていましたから、受賞をきっかけに気候問題に関心が集まり、一過性ではないムーブメントに繋がればいいなと思います。

酒井 特に若い世代は、自分の将来に直結する問題なので関心が高いなという印象です。

渡部 僕の息子は現在20歳ですが、小学校でSDGsを学び、持続可能な環境や社会というのを自然に意識していますね。

酒井 今こうして二酸化炭素を減らす努力をして、その効果が表れるのはいつ頃なのでしょうか?

渡部 10年、20年先と言われています。自然のシステムが応答するには時間がかかりますから。「50年までに平均気温の上昇を産業革命前の1.5度未満に抑える」という目標ですが、50年よりも前に1.5度を超えてしまう可能性もある。でも、一時的に超えたとしても、ちゃんと二酸化炭素排出削減を続けていれば、将来的に1.5度より低くなり、温暖化は止められます。