渡部雅浩先生(左)と酒井順子さん(右)(撮影:洞澤佐智子)
猛暑に暖冬、ゲリラ豪雨に巨大台風――。ここ数年、「なんだか地球の様子がおかしい」と感じることが多発しています。気候変動や異常気象、温暖化を研究している東京大学の渡部雅浩先生のもとへ、「地球に何が起こっているのか」「私たちにできることは何か」を酒井順子さんが学びに行きました(構成=村瀬素子 撮影=洞澤佐智子)

<前編よりつづく

日常生活で私たちができること

酒井 温暖化の影響を食い止めるために、今、世界が一丸となって温室効果ガス排出削減を進めています。「カーボンニュートラル」という言葉もよく耳にするようになりました。

渡部 15年に世界各国の代表が集まって温暖化対策を進める「パリ協定」が締結され、「産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑える」という世界共通の目標が示されています。その目標達成のために、「温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしましょう」ということですね。

酒井 日本の場合は、30年までに46%削減(13年比)、50年までにゼロ、という目標を掲げています。

渡部 正直に言うと、難しい目標です。日本は化石燃料による火力発電の割合が高く、また、国土が狭いので太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー設備を大規模に設置しにくいですから。

酒井 節電を心がける、レジ袋をもらわないなど、私たちも小さな努力はしているつもりです。一方で、もはやそれだけでは追いつかないという声もあります。

渡部 日常生活で省エネを心がけることは大事ですし、続けていくべきです。一つ言えるのは、無理をしない方法で、自分ができることをすること。誰もがすぐに取り組みやすいのは、まずフードロスをなくす、地産地消を心がけるなどでしょうか。輸送は、多くの二酸化炭素を排出しますから。

酒井 衣食住それぞれの場面で、できることはいろいろありそうです。

渡部 今は各企業も脱炭素に向けて努力していますから、そういった企業の商品を買うというのも有効な方法ではないでしょうか。

酒井 少し価格が高かったとしても、プラスチック容器ではない商品を選んでみる。これも私たち消費者ができることですね。