渡部雅浩先生(左)と酒井順子さん(右)(撮影:洞澤佐智子)
猛暑に暖冬、ゲリラ豪雨に巨大台風――。ここ数年、「なんだか地球の様子がおかしい」と感じることが多発しています。気候変動や異常気象、温暖化を研究している東京大学の渡部雅浩先生のもとへ、「地球に何が起こっているのか」「私たちにできることは何か」を酒井順子さんが学びに行きました(構成=村瀬素子 撮影=洞澤佐智子)

人間活動が原因であることは間違いない

酒井 今年は6月から猛暑が日本列島を襲い、梅雨が早く明けました。8月には世界各地で記録的な干ばつや大雨があり、明らかに気候がおかしなことになってきたと感じます。

渡部 地球が少しずつ温暖化して、気候が変わりつつあるのは事実です。20世紀末から研究者のあいだで問題になっていましたが、当時はまだ肌で実感するほどの変化ではなかったため、一般の方々の関心は低いものでした。

酒井 それがいまや、差し迫った問題としてニュースでもさかんに取り上げられている。地球がどういう状態にあるのか、不安が募ってきます……。

渡部 今日は科学者の立場から、調査や研究の結果に基づいて、何が事実で何がわかっているかをみなさんにお伝えできればと思います。

酒井 私は理系の知識がまったくないもので、先生のご著書を読んで、〈気象〉と〈気候〉は違うんだ、など初めて知ることがたくさんありました。

渡部 気象は時々刻々の気温、風、湿度、雨などの大気の状態を指し、生き物のように変化します。一方で気候は、地球環境全般の、長期間の平均的な状態を指す言葉です。

酒井 だから、日々の天気を予測する人を「気象予報士」と呼ぶのですね。そして、じわじわと起こっているのが気候の変化。二酸化炭素などの温室効果ガスが増えた結果、地球の温度が高くなっていると言われていますね。