酒井 海水が膨張し、雨として戻ってくる。ということは、地球上の水の量は増えているのですか?

渡部 水は循環しているので、総量はほぼ変わりません。問題は、循環が活発になること。どんどん蒸発し、どんどん雨が降る。それによって土砂崩れや洪水などが引き起こされますから。

酒井 なるほど。日本では気温の上昇にともない桜の開花が早まり、紅葉は遅くなっています。今夏は暑すぎるからか、蚊が少ない気もしました。虫や動物が生息する場所も変わっていく可能性はあるのでしょうか。

渡部 それはありうることだと思います。温暖化が進むというのは、地球の熱帯地域が広がっていくイメージです。日本の気候がだんだん熱帯化していけば、熱帯地域の伝染病も流行るかもしれません。

酒井 そしてやはり気になるのは、温暖化による異常気象です。

渡部 集中豪雨に台風、熱波、大雪、日本では少ないですが山火事も海外では増えていますね。

酒井 温暖化でなぜ大雪が?

渡部 先ほどの水の循環と同じ理屈です。地表の気温が1度上がると水蒸気が約7%増える。水蒸気は雨になると言いましたが、寒い地域では雪となって落ちます。温暖化により積雪が減った地域も多いですが、もともと豪雪地帯だったところは、水蒸気が増えることでより大雪になるのです。

<後編につづく

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