「むしろいま、日本で心配されているのは砂浜がなくなっていくこと。波に砂浜がさらわれ、浸食されるという現象が起きているのです。」(渡部先生)

酒井 温暖化が進み、海水の温度が上がっていけば、膨張もさらに進むということでしょうか。

渡部 いえ。海水の温度が無限に上がり続けることはありません。海の表面からは常に水蒸気が蒸発しており、その時の気化熱で水温が下がる。つまり、温暖化によって海水の温度は上がっていくけれど、部分的に水の蒸発が増えることで温度の上昇の暴走を食い止めているのです。

酒井 自然の調整機能ですね。

渡部 ただ、それには副作用があります。海からの水蒸気はどんどん大気に入っていき、上空で雲を作って、激しい雨が降る、といったことが起きるのです。

酒井 集中豪雨が増えているのは、そのことと関係があるのでしょうか。

渡部 そうですね。日本でも、ここ50年ほどの気象観測データから、大雨が増えているのは明らかです。