「何ともないや」と拍子抜けするところから始まる

松本 :薬物事件があると、薬物の怖さについてテレビで話してくださいと言われます。最近は流石に少なくなったんですが、メディアの方と打ち合わせをすると「1回やるとゾンビになる」というような、誇張を通り越して医学的事実と異なることを言ってほしいと頼まれたりします。実はそれは逆効果で、メディアがそういう誤った情報を流布してきたからこそ、お二人も薬物を摂取した時に「なんともないや」って思わなかったですか?拍子抜けしたというか。

高知 :そうですね。うん。

橋爪 :そうですね。その…言われてきたことと全然違っていて、「自分はやれてるじゃん」っていう気持ちは大きかったと思います。私生活にも仕事にも影響なく、いつでもやめられると頭では考えていました。

田中 :だから「1回でも」使ったら人生滅茶苦茶になるというような脅しは意味がないし、むしろ逆効果ということですかね?

松本 :薬物は言われてるほどは、気持ちよくもないし、怖いこともない。だからその後、続けていると依存性が高まっていくことの怖さを知らないまま、自分の判断で動いていくようになっちゃうんですよね。