足が悪いお客さんがいれば、家の中まで荷物を運ぶのを手伝う(写真提供:とくし丸)

シニアならではの悩みに「小銭の扱い」があると語るのは、6年前から都内で販売パートナーを務める佐藤宏さんだ。「お年寄りは、お店のレジで後ろの人を待たせるのが申し訳ないと、お札を出してお釣りをもらうことが多いんです。そうして手元にたまってしまった小銭も、僕のところならゆっくり数えて使っていただける。計算するのは脳トレにもなりますしね(笑)」

佐藤さんは、利用客の異変に気づくことも多いのだとか。たとえば、いつも2000円ほど買い物をする人が500円しか買わなかったら、「食欲がないの?」と、さりげなく様子を聞く。

逆に普段より多く買う、同じ商品を何度も続けて購入するといった場合に、「連絡先を聞いていた娘さんに様子をお伝えすることで、介護サービスにつながったこともありました」。つまり、買い物だけでなく、地域の高齢者の生活を見守る役割も果たしているのだ。

 

きめ細かな対応の秘密

佐藤取締役は、「私たちが何より大切にしているのは、お客様とのコミュニケーション。研修会などでは、創業者の『買い物は高齢者のエンターテインメント』という言葉を伝えるようにしています」と話す。

顔見知りになった店主や、トラックから流れるテーマソングを聞いて集まったご近所さんとおしゃべりをしながら、「今日は何を買おうか」と商品を選ぶことが、利用客の生活の潤いにつながるのだろう。

販売パートナーの佐藤さんは、「秋田出身とお聞きしたおばあちゃんのために、いぶりがっこを仕入れてそっと棚に置いておく」など、一人ひとりへの気配りも忘れない。