移動スーパー「とくし丸」では、生鮮食品やお惣菜、お菓子から日用品まで、生活に必要なものが揃う(写真提供:とくし丸)
できるだけ長く、自立した生活を送りたい――。そう願っていても、年を重ねるにつれて足腰が衰え外出が億劫になったり、夫を見送って一人暮らしになったり、心配の種は増えるもの。そうした生活の不安を抱えるシニアを、さまざまなアイデアや新しい工夫で支える企業・団体があります

ある日突然、買い物弱者に

先日、夏休みに帰省していた友人から「実家近くのスーパーが閉店して、両親が車で30分以上かけて隣町まで買い物に行くようになっていた。そろそろ運転も心配な年なのに……」という話を聞いた。

驚いたのは、彼女の実家がそれなりに都心から近い、郊外の住宅地だったことだ。スーパーの撤退や交通網の衰退により食料品・日用品の買い物が困難になる「買い物弱者」。東京都内に暮らしている自分にとっても、決して他人事ではないのかもしれない。

「シニアの場合、それまで自転車で買い物に行っていたのにケガで乗れなくなった、足腰が弱って団地の階段の昇り降りが難しくなったなど、ある日急に『買い物弱者』になってしまうことも少なくありません」と教えてくれたのは、生鮮食品などを扱う移動スーパー「とくし丸」の取締役、佐藤禎之さんだ。

全国各地の地元スーパーと契約を結ぶとくし丸。専用の軽トラックを所有する個人事業主の「販売パートナー」が、提携スーパーで必要な商品を集めて荷台に積み込み、担当エリアで移動販売を行う。週2回、大体決まった時間に利用客の自宅や集合住宅を巡回しているという。

荷台には、生鮮食品やお惣菜から洗剤などの日用品まで約400品目、1200~1500点が揃い、ちょっとしたミニスーパーのようだ。お客さんは主に70代から80代の女性たち。時間を気にせずゆっくり買い物を楽しんでいる。運転免許の返納をきっかけに利用するようになった人も多いのだとか。

「たくさんお買い物をして荷物が重いという方には、家の中まで運ぶお手伝いをします。『ペットボトルの蓋が固くて開けられない』とお困りであれば、開封してから冷蔵庫に入れてさしあげるケースもあるようです」(佐藤取締役)