提携スーパーでお客さんの希望に添った食材を選ぶ販売パートナーの佐藤宏さん(写真提供:とくし丸)

そうしたきめ細かな対応ができるのは、販売パートナーがとくし丸本部から専用車を購入して起業する個人事業主であることも大きいかもしれない。商品は、地元の提携スーパーの価格に1点あたり10~20円の手数料を上乗せして販売する。

その手数料と商品の粗利益をスーパーと分配したものが自分の収入になるため、利用者一人ひとりの好みを知り、気持ちよく買い物を楽しんでもらうことが、収入アップにも結びつくのだ。

スーパーにとっても、足を運べなくなった顧客に引き続き利用してもらえるという大きなメリットがある。また、とくし丸と提携することで、シニアが本当に求めているものをダイレクトに知る機会にもなっている。

「人口減少が進む地域では、とくし丸が走ることで経営を維持できているスーパーもあるのです」と佐藤取締役。一つのスーパーが閉店せずに済めば、シニアはもちろん、車を持たない若い人たちも買い物に困らないし、雇用も確保できる。

「近所にとくし丸が走っているか知りたい方、自分の家にも来てほしいという方は、ぜひお住まいの自治体や本部に問い合わせてみてください」。

現在、全国47都道府県で1000台以上が稼働するとくし丸。将来的には、衣料品や家電製品の注文販売、家事代行の紹介なども行っていきたいということだ。

 


《ルポ》シニアの不安に寄り添うサービスが増えている
【1】目で見て選ぶ買い物の楽しさを提供《移動スーパー「とくし丸」》
【2】月1回、30分の訪問が日々のハリに《郵便局のみまもりサービス》
【3】気軽に相談できて必要な知識が身につく《暮らしの保健室》