庭先で郵便局員とつかの間の会話を楽しむ。月に1回のこの時間を心待ちにする利用者も多い(写真提供:日本郵便)
できるだけ長く、自立した生活を送りたい――。そう願っていても、年を重ねるにつれて足腰が衰え外出が億劫になったり、夫を見送って一人暮らしになったり、心配の種は増えるもの。そうした生活の不安を抱えるシニアを、さまざまなアイデアや新しい工夫で支える企業・団体があります

拠点の多さを生かして

買い物弱者が生まれる背景には、子どもと離れて暮らす親が増えていることもあるだろう。そうしたシニアの生活状況の確認や、もしものときの緊急対応をしてくれる「見守りサービス」に注目が集まっている。

サービス内容としては、スマホのアプリで安否確認を行うものや、専用のセンサーやカメラを使うもの、弁当などを宅配するときに様子を見てくれるものなど、実にさまざまだ。提供する会社も、セコムなどの警備会社をはじめ、東京ガスやヤマト運輸、ソフトバンクなど多業種にわたる。

そんななか、全国津々浦々2万局という拠点の多さを生かし、独自のプランを展開しているのが「郵便局のみまもりサービス」だ。

「地域の過疎化、高齢者の孤立といった課題に対して、地元で長く親しまれている郵便局にできることはないかと考えたのが、このサービスを始めるきっかけでした」と、日本郵便地方創生推進部の小川晃弘さんは語る。

2017年から始まったこのサービスは、毎日電話で利用者の体調確認を行う「みまもり電話サービス」(固定電話=月額1070円、携帯電話=月額1280円)と、郵便局員などが月に1回自宅を訪問する「みまもり訪問サービス」(月額2500円)の2種類。さらにオプションで、家族からの依頼で警備会社が利用者宅へ駆けつける「駆けつけサービス」(月額880円)をつけることもできる。

「『みまもり電話サービス』は、毎日決まった時間にアナウンサーの自動音声でお電話を入れます。簡単な質問にプッシュボタンを押して答えると、その結果が登録したご家族のもとへメールで届く仕組みです」(小川さん。以下同)